三菱商事の企業理念である「三綱領」には、事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力し、かけがえのない地球環境の維持にも貢献することがうたわれています。
近年、さまざまな社会課題解決に対する企業への期待・要請が一層高まっている中、当社が事業活動を通じて解決していく重要な社会課題である「マテリアリティ」を指針とし、「中期経営戦略2024」で打ち出したMC Shared Value(共創価値)を創出し続けることで、社会と共に成長を続けることを目指しています。
また、刻々と変化する社会からの要請を踏まえ企業価値を高めていくためには、ステークホルダーの皆さまとの対話と、対話を踏まえた方針策定・施策実行・開示という事業戦略実行サイクルが重要と認識しており、実効性のある推進体制を構築しています。
対話と事業戦略実行の各サイクル詳細については、以下をご参照ください。
サステナビリティはコーポレート担当役員(CSEO)が管掌し、サステナビリティ部が方針・施策を企画・立案の上、年2回をめどにサステナビリティ・CSR委員会で討議後、社長室会、取締役会において付議・報告される体制としています。
サステナビリティ・CSR委員会の主なテーマ
事業活動を通じて持続的に社会価値・環境価値を創出するため、コーポレート部局だけでなく各営業グループが主体的にサステナビリティを推進する体制を構築しています。
当社は、ステークホルダーの皆様の要請も踏まえながら、サステナビリティの取り組みを適時・適切に開示しご理解頂くこと、および開示した取り組みへの示唆を取り組みに反映していくこと、この一連のサイクルが重要であり、当社の中長期的な企業価値の向上に寄与するとの認識に基づき、サステナビリティ関連情報の開示に積極的に取り組んでいます。
「サステナビリティ・ウェブサイト」(以下、本ウェブサイト)で開示している情報について、サステナビリティに関する基本方針・重要事項は、サステナビリティ・CSR委員会での討議を経た上で、最終的には社長室会で決定し、取締役会に報告をしています。また、その他主要な情報の更新に当たっては、コーポレート担当役員(CSEO)の承認を経て情報開示を行っています。
本ウェブサイトでは、統合報告書やこれまで「ESGデータブック」等で開示していたESG関連情報を集約するとともに、複雑化するESG評価機関・開示基準の要請に適時に対応することを目的として開設しました。主にESGに関心の高いステークホルダーの皆様にご参照頂く媒体として、複数のESGレポーティングガイドラインを参照の上、ESG項目別に整理し、情報の一覧性を高めており、従来の報告書の型式としてPDF型式での出力も可能となっています。
今後も、ESG開示に対する皆様からのご意見を参考にしながら、より分かりやすい開示となるよう改善を図ることで、皆様との建設的な対話に資する良きコミュニケーションツールとしてまいります。
当社のサステナビリティに関する定性的・定量的情報の把握を目的として、グローバル・連結ベースで環境・労働安全衛生調査を事業活動を行っている全ての事業投資先に対して毎年実施しています。集計したデータは、経営に報告するとともに、当社サステナビリティ施策等の検討の基礎資料として活用しています。
営業グループ・部門に対し、調査対象となる事業投資先を確認。調査対象は原則として全ての事業投資先であり、子会社、関連会社(含む孫会社)、および共同支配事業・企業が含まれます。
調査項目には、温室効果ガス(GHG)、水、廃棄物、労働安全衛生データ、寄附額等のデータおよび環境マネジメント等のマネジメント方針が含まれます。
調査結果は、サステナビリティ・CSR委員会、社長室会、取締役会に報告しています。
一部のデータは、信頼性を高めるため、独立した第三者であるデロイトトーマツサステナビリティ㈱の保証を受け、ESG開示媒体やCDPにて開示しています。
福岡空港見学の様子
オンデマンドバス「のるーと」への乗車の様子
三菱商事太陽のオフィスにて社員の皆さんと共に
当社では、刻々と変化する社会からの要請を的確に捉えこれに応えるべく、株主を含む投資家やNGOとの直接的な対話、個別案件における地域コミュニティとの対話、サプライチェーン調査を含むサプライチェーン・マネジメントに取り組んでいます。全てのステークホルダーの皆様と建設的な対話を実施し、そこで得た示唆を施策の立案・実行に還流していくことが、継続的かつ中長期的な企業価値の向上を図る上で重要と考えています。
また、グローバルに環境・社会に関する最新動向を把握するため、欧州・米州・東南アジア等の各地域にサステナビリティ担当部局を設け情報を共有・連携するとともに、「国連グローバルコンパクト」、「持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)」等の団体へ加入しています。さらに社外の視点をサステナビリティ施策に取り込むことを目的に、サステナビリティアドバイザリーコミッティーを2008年より設置、年2回定例の委員会を開催の上で助言・提言を頂いています。
2022年度は、サステナビリティに関する投資家との直接対話を約40回、NGO団体との直接対話を85回(日本:9回、欧州:32回、米州:44回)実施しました。本対話を通じて、低・脱炭素社会への移行に向けた当社戦略への期待や、化石燃料をめぐる個別案件への取り組み方針に関し、各ステークホルダーの見地から貴重なご意見を頂いています。得られた示唆を施策へと還流し、策定した施策の適時・適切な開示を進めていきます。
国際機関、ESG投資分野等の各ステークホルダーの幅広い視点を代表する社外有識者6名によって構成される「サステナビリティアドバイザリーコミッティー」をコーポレート担当役員(CSEO)の諮問機関として2008年より設置し、当社のサステナビリティ施策の考え方や各種取り組みに関して、年2回定例の委員会を開催の上で助言・提言を頂いています。また、コミッティーメンバーに、当社事業の理解を深めて頂くべく、事業現場の視察を定期的に実施しています。2023年6月に開催した同コミッティーにおいては、次のテーマについてご意見を頂きました。
足達 英一郎
㈱日本総合研究所
常務理事
未来社会価値研究所長
ピーター・D・ピーダーセン
大学院大学至善館 教授
荒井 勝
NPO法人
日本サステナブル投資フォーラム 会長
山田 美和
独立行政法人
日本貿易振興機構(ジェトロ)
アジア経済研究所
新領域研究センター長
中井 徳太郎
日本製鉄㈱ 顧問
野口 聡一
合同会社未来圏 代表
宇宙飛行士
2022年秋には、当社および三菱商事洋上風力㈱が国内初の一般海域での大規模着床式洋上風力発電事業の開発に取り組み、加えて35年ぶりに当社が新たな国内支店を開設した秋田を訪問しました。
佐竹敬久秋田県知事への表敬訪問では、秋田支店の開設報告と、当社グループとして秋田の皆様と共に地域共生・地域共創に向けた取組を進めていくことを報告しました。また三菱商事クリーンエナジー㈱が2020年から商業運転している秋田潟上ウインドファーム(66MW陸上風力)を視察。秋田県有林内に設置された容量3MWの巨大な風車22基が、風という自然資源をエネルギーとして活用する再生可能エネルギー発電の現場を体感し、事業パートナーであるウェンティ・ジャパン社との意見交換も行いました。
視察後は、秋田市内で下期サステナビリティアドバイザリーコミッティーを開催。議題の一つとして当社の地域共生・地域共創の取組実例を国内開発室より説明、秋田で取り進めるワークショップも活用して当社らしい形で地域の課題解決に取り組んでいく方針を共有しました。